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単身赴任者が週末に家族の居住している自宅に帰り、月曜日の早朝に当該自宅よりマイカーで出勤する途中で被災した事例 |
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単身赴任者が週末を利用して家族の居住する自宅へ帰り、月曜ビの出勤に備えて日曜日の夜に自宅から赴任先で借りている社宅にマイカーで帰宅する途中、交通事故にあい被災した事例 |
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入院中の夫の看病のため、母親と交代で1日おきに病院に寝泊りしていた労働者が、病院から事場へ向かう途中で被災した事例 |
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マイカー通勤者が前日泊まった婚約者宅から事業場へ出勤する途中で被災した事例 |
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自宅敷地内にある車庫の中で転倒して被災した事例 |
事例1 単身赴任者が週末に家族の居住している自宅に帰り、月曜日の早朝に当該自宅よりマイカ−で出勤する途中で被災した事例 |
@ 被災労働者は事業場にあるS市にアパ−トを借りて単身赴任をしていましたが、事業場の週休二日制を利用して金曜日の業務終了後に家族の住むK市の自宅に帰り、月曜日の朝マイカ−で自宅から直接事業場へ出勤する途中、対向車と正面衝突し負傷したものです。
なお、被災労働者は単身赴任してから約一年が経過しており、毎月二回程度週末を利用して家族の住む自宅に帰っていたものです。
A 認定のポイント
被災労働者が週末を利用して帰宅した家族の住む自宅が「住居」として認められるかどうかがポイントになります。
B 結論および理由
通勤災害として 認められます。
被災労働者は赴任地においてアパ−トに入居し、日々の通勤は当該アパ−トを起点として行われていたところから、当該アパ−トが「住居」に該当することに疑問の余地はありません。一方、被災労働者は家族が住む自宅にも毎月二回程度の割合で定期的に帰宅していたところから、当該自宅も日常生活の用に供している就業のための拠点と認められるので「住居」に該当することになります。
事例2 単身赴任者が週末を利用して家族の居住する自宅に帰り、月曜日の出勤に備えて日曜日の夜に 自宅から赴任先で借りている社宅にマイカ−で帰宅する途中、交通事故にあい被災した事例 |
@ 災害の発生状況
被災労働者は事業場のあるK市に単身赴任し社宅に居住していましたが、毎週休日を利用して土曜日の朝に家族の居住するW市にある自宅に帰り、月曜日の所定始業時刻が早いため日曜日の夜には社宅に戻るという生活を繰り返していました。被災当日も日曜日の午後9時ごろマイカ−で自宅から赴任先の社宅に戻る途中、運転を誤り道路際から転落し負傷したものです。
A 認定のポイント
被災労働者が休日を利用て帰宅した家族の住む自宅が「住居」と認められるか及び自宅から赴任先の社宅に戻る行為が通勤と認められるかどうかがポイントとなります。
B 結論及び理由
通勤災害とは 認められません。
被災労働者が赴任先において居住している社宅が「住居」にあたることは当然ですが、家族が居住する自宅も被災労働者が毎月定期的に帰宅しているところから「住居」に該当することになります。しかしながら月曜日の所定始業時間が早いという理由はあるにせよ、被災労働者は日曜日の夜に赴任先の社宅に戻ろうとした際に被災しており、いわば住居と住居との間の往復行為であり、就業の場所へ向かうための行為とは認められません。
事例3 入院中の夫の看病のため、母親と交代で一日おきに病院に寝泊まりしていた労働者が、病院から事業場へ向かう途中で被災した事例 |
@ 災害の発生状況
被災労働者の夫は、頸椎の手術を受けたため長期間にわたり入院をする必要があり、しかも手術後の病状が安定するまでは親族が付き添っていることが必要な状況でした。そのため被災労働者は夫の手術当日から18日間継続して、その後は1日おきに当該病院に寝泊まりしており、病院に宿泊した場合には翌朝は病院から事業場へ直接向かうことを繰り返していました。被災当日は午前7時30分頃に病院を出て、事業場への最短距離を通行中に、路面が凍結していたために足が滑って転倒し負傷したものです。
A 認定のポイント
夫の付添い看護のために寝泊まりしていた病院が、就業の拠点としての「住居」として認められるかどうかがポイントになります。
B 結論及び理由
通勤災害と 認められます。
親族等の付添い看護のために病院に寝泊まりして病院から事業場に通っている場合には、労働者が一定期間当該病院に寝泊まりしそこから事業場へ向かっていたかどうかという継続性と、付添い看護の必要性及び親族の病状等の客観的な状況を総合的に検討して、当該病院が「住居」に該当するかどうかを判断することになります。
本件の場合、被災労働者は夫の手術当日から継続的に病院に寝泊まりしてそこから事業場へ通っており、しかも入院中の夫の看病のため妻が病院に寝泊まりすることは社会通念上通常行われていることであって、付添い看護の必要性等を総合的に勘案した場合、被災当日における病院は、被災労働者にとって就業のための拠点としての「住居」と認められます。
@ 災害の発生状況
被災労働者は通常自宅から事業場へマイカ−通勤していましたが、被災前日には婚約者宅に泊まり、被災当日婚約者宅からマイカ−で事業場へ出勤する途中、交通事故のため負傷したものです。
A 認定のポイント
婚約者宅が本人の就業のための拠点としての「住居」として認められるかどうかがポイントになります。
B 結論及び理由
通勤災害とは 認められません。
本件の場合、被災労働者が就業の必要上婚約者宅に宿泊した訳ではなく、もっぱら私的な理由により婚約者宅に宿泊したものと認められるところから、当該婚約者宅は被災労働者の就業の拠点としての「住居」には該当しません。
@ 災害の発生状況
マイカ−通勤をしている被災労働者は、一戸建ての家屋の玄関ドアを出て自宅敷地内にある車庫に向かいましたが、車庫内においてあった予備のタイヤにつまづき、転倒して負傷したものです。
A 認定のポイント
自宅敷地内にある車庫内を通勤経路上といえるかどうかがポイントなります。
B 結論及び理由
通勤災害とは 認められません。
「住居」と通勤経路との境界は、通常一般の人々が自由に通行することができるかどうかによって区分されており、車庫は自宅敷地内にあるところから通勤経路上とは認められません。なお、本件のような場合には、通常「住居」と通勤経路との境界は、自宅の門や門扉、車庫のゲ−ト等になります。